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フランスに関するここ数年の主要な法改正

【コラム】

1 会社法

2019年4月,経済改革の一環として,70条に及ぶ「企業の成長・変革のための行動計画法」(通称:PACTE法案)が採択された。

同法では,

(1) 中小企業の成長を支援する規制緩和

(2) イノベーション強化

(3) 利潤追求のみではない社会的意義の強調

を基本施策とした幅広い施策が盛り込まれている。

同法の主な内容は以下のとおりである。

① 企業設立手続を簡素化し,オンラインによる会社設立手続を導入

② 従業員数250人未満の中小企業の従業員に対するインセンティブ強化

③ 中小企業による輸出促進を目的とした,各地方にワンストップ窓口を開設

④ 社会的責任や環境的配慮などの要素を考慮に入れた民法・商法改正

⑤ 従業員への事業譲渡の容易化

⑥ 研究者による事業設立の簡易化

⑦ 会社の解散コストと必要期間の軽減・短縮化により,再チャレンジが容易に

⑧ 外資規制対象となる戦略的分野の保護

2 労働法

2018年1月,改正労働法典が施行された。

解雇規制に関する法改正として,

(1) 解雇の場合の補償金額

(2) グローバル展開企業の整理解雇の条件の変更

(3) 解雇不服申し立て期間の短縮

などの改正が行われた。

(1) 解雇補償額

ア 不当解雇

不当解雇を理由に労働裁判所に訴えた場合の賠償額(解雇補償金)が,を在職期間に応じて決定された。

具体的な概要は,在職期間が1年につき1か月分(たとえば,10年勤続で10か月分)である。また,29年以上勤続の場合は20か月分が上限である。

もっとも,ハラスメント・差別・表現の自由の侵害に基づく解雇の場合,補償額の上限はない。

イ 合法的な解雇

合法的な解雇に関する補償金は,在職期間1年以上10年未満の場合は在職年数ごとに月額賃金の4分の1を乗じる額である。

一方,在職期間が10年以上の部分は,その年数に月額賃金の3分の1を乗じる額が加算される。

(2) グローバル企業の経済的解雇の条件の変更

経営状態の悪化を理由とする解雇のうち,グローバルに事業展開する企業に対する条件が変更になった。

具体的には,グループ全体の経営状態を踏まえて経済的解雇の実施の可否が判断されるのではなく,フランス国内の事業が悪化した場合に限り解雇できることになった。

(3) 解雇不服申し立て期間の短縮

解雇された労働者が労働裁判所に対して不服申立てできる期間が,2年から1年に短縮された。

3 贈賄

2017年6月,「経済活動の透明性,汚職防止及び現代化に関する法律,通称サパンII法」が施行された。

汚職防止の分野では,以下の特徴がある。

(1) 汚職防止機構(AFA)の創設

従来の汚職防止中央総局(Service central de prévention de la corruption: SCPC)に代わり,独立機関であるフランス汚職防止機構(Agence française anticorruption: AFA)が創設された。

(2) コンプライアンス・プログラムの策定・運用義務

従業員が500人以上で,年間の売上総利益が1億ユーロを超える大規模会社において,社内のコンプライアンス・プログラムの整備が義務づけられた。

具体的には,行動規範や内部告発手段の策定,会計監査,汚職に関わりやすい立場の従業員を対象とする研修の実施,懲戒処分制度の整備等が求められる。

 プログラムを遵守しなかったり策定義務に反したりした場合,腐敗行為が生じていない場合であっても,会社は最大100万ユーロ,経営幹部は最大20万ユーロの罰金を課される。

(3) 公益通報者の保護

AFAの下で,公益通報者の保護が強化された。

(4) 域外適用対象の拡大

外国の公務員に対し贈賄を行ったフランス企業(多国籍企業のフランス法人を含む)を訴追するための外国公務員贈賄罪が強化された。

フランス人のみならず,外国人であっても,「フランスに居住する者」や「経済活動の全部又は一部をフランスで行う者」も,フランス法により訴追することができる。

(5) 和解制度

訴追延期合意(DPA, Deferred Prosecution Agreement)のフランス版である和解制度が新設された。

以下の要件を満たす法人は,検事と合意することにより,刑事訴追を免れることができる。

ア 過去3年間の平均年間売上の30%を上限とする罰金の支払

イ フランス当局の監視下での最長3年のコンプライアンス・プログラムの遵守

ドイツに関するここ数年の主要な法改正

【コラム】

1 会社法

 2017年成立のマネーロンダリング(資金洗浄)法に基づき,透明性のための登記が導入され,実質的所有者が登記事項となった。

また,これに伴い,株主名簿の株式数等の記載を明確にすることが要求された。

2 労働法

(1) 労働者派遣等の法律

  2017年4月,労働者派遣等の法改正が施行された。

ア 派遣期間の制限

これまでは制限がなかったものの,18か月へ短縮された。

イ 均等待遇措置

遅くとも派遣後9か月内に,派遣先企業の労働者との均等待遇を実現することが要請された。

ウ 偽装請負の防止

    派遣・請負労働者に関する配置計画の明記が要求され,派遣等と労働者の区別を明確化するべきとされた。

(2) 賃金構造の透明化推進法

2017年7月,男女間の賃金格差の是正を目的とする賃金構造の透明化推進法が施行された。

ア 従業員200人以上の企業は,労働者の要請に応じ,同等の仕事に就く異性従業員の賃金情報を開示しなければならない。

もっとも,比較可能な異性の従業員数が6人に満たない場合は,適用されない。

イ 従業員500人以上の企業は,社内の賃金構造に関する調査・報告書の作成や,男女間の平等な賃金に関するモニタリングの実施が推奨されている。

ウ また,商法に基づき従来から大企業に義務づけられていた企業報告の中に,「男女の平等な機会の提供」と「男女の平等賃金の実施状況」に関する項目が追加された。

 (3)  パートタイム・有期労働契約法

2019年1月,パートタイム・有期労働契約法が施行された。

これにより,一定の要件の下,フルタイム勤務からパートタイムに移行後,再度フルタイム勤務に戻ることができるようになった。

3 競争法

2017年6月,競争制限禁止法の第9回改正法が施行され,主に以下が定められた。

(1) 損害賠償請求の容易化

(2) 会社が消滅した場合に責任を免れる,いわゆる「ソーセージギャップ」の解消

  …グループ会社に広く責任を負わせることで,ソーセージ製造会社が行っていた法的な抜け穴を通ることが禁じられた。

中国に関するここ数年の主要な法改正

【コラム】

1 会社法

(1)  会社法改正

2016年9月,中外合弁企業,中外合作企業及び外商独資企業(いわゆる「三資企業」)の設立・変更に関する認可制度が「届出」制に変更された。

(2)  外国投資法成立

 2019年3月,外国投資法が成立し,2020年1月より施行される。

 これにより三資企業法は廃止され,会社法が全面適用されることになる。今後は,独資,合弁及び内資のいずれも,会社法に基づき統一的な企業統治体制を取ることができる。

三資企業法に基づき設立された外資企業は,新法の施行から5年間のみ,従来の組織形態を維持できる。

2 労働法

労務派遣暫定規定により,2016年3月以降,全従業員中,派遣労働者が占める割合は1割以下にしなければならないことになった。

3 ビザ

2018年3月より,外国ハイレベル人材の基準条件に合致する外国人は,Rビザを取得できることになった。

4 贈賄

2018年1月1日,改正不正競争防止法が施行され,商業賄賂の定義が明確となった。

5 環境法

(1)  水質汚染防止法

2018年1月1日,改正水質汚染防止法が施行され,各違反行為に対する過料の上限が100万元に引き上げられた。

(2)  環境保護税法

2018年1月1日,環境保護に対する規制強化を行うことを目的とした環境保護税法が施行された。

中国領土内及び中国が管轄する海域内において課税対象の汚染物質を排出する企業及び事業者が,環境保護税の納税対象者となる。

6 知的財産法

2019年1月4日,第4次専利法改正案(草案)が公表された。

改正対象は,故意侵害時の最高5倍賠償,帳簿提出命令,法定損害賠償額の500万元 (約8,000万円)への引き上げ,開放許諾制度,インターネット上の侵害に対する救済等多岐にわたる。

7 情報保護法

2017年6月1日,インターネット安全法が施行された。

同法と一連の付随規定により,インターネットの重要情報インフラ保護,個人情報や重要データ保護などの点が明確化されつつある。

米国に関するここ数年の主要な法改正

【コラム】

1 会社法・外資規制

2018年8月,外国投資リスク審査現代化法(Foreign Investment Risk Review Modernization Act,「FIRRMA」)が施行された。

これにより,買収・合併のみならず,一定の投資行為や土地の取得行為についても,事前の届出が必要となった。

2 労働法

2016年12月,改正公正労働基準法が施行され,残業代を支給すべき最低年収が47,476ドルに増額された(2020年1月には,51,168ドルにさらに増額予定)。

3 贈賄

2019年3月,米連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)の企業実施ポリシー(Corporate Enforcement Policy)が改定された。

これにより,WhatsAppやWeChat等のメッセージアプリを業務で活用できる要件が緩和された。

4 情報保護法

(1)  消費者プライバシー法(カリフォルニア州)

2020年1月から,年間売上高が2,500万ドルを超える企業などに適用される。

(2)  IoTセキュリティ法(カリフォルニア州)

2020年1月から,カリフォルニア州において販売するIoT機器の製造者などを対象として,セキュリティ強化を目的としたIoT セキュリティ法が施行される。

これにより,IoT機器の製造業者は,機器ごとに異なるパスワードを設定するか,利用者が初めて使用する前に独自のパスワードを設定するなどの機能を付加しなければならない。

海外主要11か国の最近の改正法記事アップ

【コラム】

海外主要11か国(米国,英国,ドイツ,フランス,中国,インド,シンガポール,タイ,ベトナム,フィリピン,ブラジル)の最近の改正法の情報を集めました。
毎週1か国程度,適宜,五月雨式にご紹介差し上げます。海外拠点管理などにお役立てください。

2018年の腐敗防止認識指数

【コラム】

2018年の腐敗防止認識指数(Corruption Perception Index)が,トランスペアレンシー・インターナショナルから発表されました。
アジアを中心とする海外主要国の,2013年からの過去6年の推移を見ると,以下のグラフのとおりです。

2018年の腐敗防止認識指数

移送において要求される証明の程度

【コラム】

先日,東京高等裁判所で,移送決定に関する抗告事件に関し,興味深い決定(逆転勝訴)を得ましたので,ご報告差し上げます(平成31年1月31日決定)。

「土地管轄の原因となる事実(例:不法行為の事実)が存在すると認めるためには,疎明ではなく,証明しなければならない。

もっとも,証明の程度は,本案と同程度の心証は不要で,それよりも軽度の心証で足りる」という内容のものです。

つまり,移送を争う場合に,例えば不法行為地の立証が必要となるときは,以下の1でもなく,3でもなく,2の程度の立証が必要であり,それで十分だということになります。

1 疎明 一応確からしいという心証
2 証明 軽度の心証
3 証明 本案と同程度の心証

この点を論じる文献はほとんどないと思われましたので,ご参考までに,ここでご紹介いたします。

グローバル・ガバナンス・コンプライアンス研究会 申込受付中です

【コラム】

2月26日(金)午後6時30分~午後9時30分、海外進出企業のコンプライアンス担当の企業の皆様向けに,代表弁護士中山達樹が,第1回フォーラムを立ち上げました。

お申込みはこちらからお願いします。

「グローバル・ガバナンス/コンプライアンス研究会」立ち上げのお知らせ

【コラム】

日産カルロス・ゴーン会長逮捕などに見られるように,内部通報制度やグローバル・ガバナンス/コンプライアンスの重要性がさらに高まっています。

とはいえ,海外法務,グローバル・ガバナンス/コンプライアンス(そして,そのための海外人材育成)は,ほとんど,いや全ての日本企業が,情報が極めて限られている中,暗中模索している,というのが実情です。

そこで,代表弁護士の中山の,これまでの経験と人脈を活かし,「グローバル・ガバナンス/コンプライアンス研究会(仮称,略してGGC)」を立ち上げます。
趣旨は,「企業さんの情報交換の機会・フォーラムを作り,海外事業をよりスムーズに行うことの支援」です。

企業の担当者(監査役,海外担当役員,海外法務/コンプライアンス担当)が,互いの悩みを共有したり,それぞれの課題や奮闘を,情報交換できる機会/フォーラムを形成します。

研究会の仔細の内容はおってご案内差し上げます。「このような会にしてほしい」「こういう情報がほしい」「こういうテーマを扱ってほしい」などのご意見等ございましたら,ご遠慮なくご連絡くださいますようお願い申し上げます。
*ご連絡先* info@nkymlaw.jp

「デザイン法務」研究会の立ち上げについての意見交換

【コラム】

パナソニックでベイツ弁護士がGC(ジェネラル・カウンセル)に任命されたことに象徴されるように、
インハウスロイヤーの増加等から、
法務・法務部・弁護士の役割が、変わってきている
(より具体的には、よりPROACTIVEないし積極的なレベルの高い提言が求められるようになっている)
と感じています。

そんな昨今、私は、グローバル・ガバナンス・コンプライアンスのセミナーで、
視聴者に対して、
  「デザイン」
することの重要性を、ここ2年くらい、説いています。

具体的には、法的リスクを、事後的に対処するのではなく、
  <そんなリスクがあるなら、最初から、その目を摘んでおけば良い>
という意味合いです。

よく引き合いに出すのは、以下の例です:
1 コモンローでは、契約成立にConsiderationが必要
2 だから「一筆書かせる」(片務的な義務を負わせる)だけでは契約不成立
3 退職者がライバル企業に行くのを防止したい場合にどうするか?
4 退職時に「一筆書かせる」のはNG
5 採用時に、就業規則や雇用契約で記載 等

このような例を、豊富に集めて(海外・国内を問わず)、
  「デザイン法務」
という概念を、打ち出したい/強く強調したいと思っています。

このような研究会、ブレストに、ご興味ある方からのご連絡をお待ちしております。
(ランチ等で、意見交換の場をご用意させていただければ幸いです。)
*ご連絡先* info@nkymlaw.jp

蘇州レポート

【コラム】

蘇州は、三国志の呉の首都で、いわば、京都と筑波とシリコンバレーとシンガポールを混ぜたような街です。
初めてですが、とても大きなインパクトを受けました。現地に足を運ばないと、肌感覚として実感できない、多くのものを得ました!



1 中国全体の、「圧倒的」な質量感(と高級感とスピード感)

独墅湖(DUSHU LAKE)の湖畔から眺める、対岸に広がる高層ビル群から、日本人との「空間感覚」「規模感覚」の違いを感じました。

中国には、中産階級が4億人もいて、これから発展するこれらの民の、勢い・息吹を感じました。「量が質を担保する」ことから、これからの中国製品やサービスの質も、驚くほど向上することが伺われました。

具体的には、NPS(Net Promotional Score)-「人に勧められるか」という尺度で人もサービスも判断され、スコア化されるようになっています。この「信用の可視化」により、中国人の民度も驚くほど上がっています!

また、中国といえば大気汚染が有名でしたが、これももう昔話になりました。数年で空気も綺麗になっています。これは、政府の政策の浸透度が早いことを意味します。一党独裁の持つ利点の一つといえます。

日本の戦後と同様、まだ中国では産業政策が競争政策を凌駕しており、特定の成長分野では、政府が指定企業に独占させることで、スピードを促進しています。

このような動きというか勢いを肌で感じ、もはや「中国抜きでビジネスは一言も語れない」と悟りました。


2 中国の「驚異的」発展

見聞した限りで、中国の「驚異的な」発展を示すものをいくつか列挙します。

(1) 例1:摩天楼の建設数(200メートル以上の高層建築物 2016年)
世界で128
中国 84(9年連続の首位)
うち深セン 11
アメリカ 7
韓国 3
日本 1 (名古屋のJRゲートタワーのみ)
中国対日本は、84対1です…
(2) 例2:高速鉄道
営業距離 日本の新幹線の7倍
利用客数 日本の3倍
速度 日本の1.3倍くらい?
あっという間に、日本の新幹線を凌ぐ乗り物になりました。
(3) 例3:社会のIT化
・ALIBABA系の、ZHIMA CREDITが、支払能力/信用を可視化しており、クレジットが髙いと、合コンでもてる、とか、海外に行きやすくなる、とか、ホテル泊まる際のデポジットが不要になる、とかなどの利便性を獲得できます。
データ化→信用の可視化→自由の獲得&民度の向上、という図式です。
・5つ星ホテルにいくと融資枠が上がり、貧しいところに行くと融資枠が下がったりします。
・EC化率 日本よりも、アメリカよりも、進んでいます。
日本6% アメリカ12% 中国15%
・Wechatの方が手数料が安い(0.3%)ため、巷の店もクレジットカード(3%)を受け付けません!
・DiDi(滴滴出行)−
運転手が、急ブレーキを掛けた後に、トラブルの相手方の運転手に対して文句を言ったり悪態をついたりする、短気と認識されて、保険料が上がったりします。
・ジンドン … 商品の配達員が、配達した帰りに、自主的に、無料で、ゴミを持って帰ってくれたりします。
これは、NPS(Net Promotional Score)に基づく、カスタマーレビューの評価を上げるため。
「人に勧めたいか」が基準として、評価される社会になっています。

3 中国経済

(1) 将来性
一人あたりGDPだと、中国はまだまだ日本の終戦直後レベル。だから、中国は、これからまだまだ成長の余地あり!といえます。
実際、中国高官が、シンガポールを「上から目線」で見るようにまで成長しています。
(2) 地域格差
中国の地域格差は大きく、都市部と農村部で経済レベルが3倍も違います。
ですから、沿岸部に偏在する富をどうやって農村部に還元するかが、国家的課題となっています。
(3) 政府の関与
B to B は政府主導で、国営企業が幅を効かせています。
一方、B to C / C to C (私企業)は、政府が関知しません。戦略的に政府が重要と思っていないからのようです。
国際競争力を高めるために−アリババテンセントが好例−、政府は独占禁止法も適用せずに、成長させています。ただ、今後、いつまで政府がこれらの私企業の営為を黙認するかは、不明です。

例えば、政府は、指定産業につき、指定企業に堂々と担当させています。 医療分野のテンセント、スマートシティーのアリババ、自動運転の百度、音声認識のアイフライテック、のようにです。


4 仕事のポートフォリオの見直し

私は英語が得意なので、中国との仕事はあまり伸ばしてきませんでしたが、今後は、中国語を勉強したりして、仕事のポートフォリオ、資産のポートフォリオ、語学のポートフォリオ、人脈のポートフォリオを、大きく、中国シフトさせないといけないと痛感しました。


【協力型司法取引】2018年6月1日施行の改正刑事訴訟法の5つのポイント

【コラム】

1 今月1日から開始された司法取引制度のポイントは以下のとおりです。

(1) 自らの違法行為ではなく、他人(ターゲット)の行為に関する情報提供が、司法取引の材料となる、いわゆる協力型であること(刑事訴訟法第350条の2第1項)。
⇒自らの違法行為を認めたとしても、司法取引とは直接関係がありません。この点で、独禁法上のいわゆるリニエンシー制度とは異なります。
(2) 司法取引の材料となりうる対象行為は、特定の犯罪行為に限られていること(同条2項)。
⇒贈収賄罪や詐欺等のほか、租税法や独占禁止法、金融商品取引法の罪なども含まれます。
(3) 検察官(警察官ではない)と、本人(弁護人は同席必須)の間で司法取引が行われること(同法350条の4本文)。なお、本人の同意があれば、検察官と弁護士との間との取引でも司法取引が可能です(同ただし書)。
(4) 検察官が本人と合意できる取引内容は、不起訴処分など7類型に限定されていること(同法第352条の2第1項2号)。
(5) 上記(2)の対象にならない犯罪行為は、同時期に施行される刑事免責制度の活用が想定されること。

2 上記(5)刑事免責制度も、今般の改正の一つの柱です。別の機会に記載します。 (シニア・アソシエイト弁護士 得重 貴史)

コンプライアンスの「ソフト面」

【コラム】

最近、グローバル・ガバナンス/コンプライアンスに研鑽を深めるにつれ、「ガバナンス」や「コンプライアンス」は畢竟、コミュニケーション/人/ソフト面の影響が大きい、と思っています。

より具体的には、静的・受動的なハード面の「体制」構築で終わるではなく、むしろそれをスタートにして(より踏み込んだ)、動的・能動的なソフト面の「態勢」整備にまで繋げるべきです。

ご参考までに、ガバナンス・コンプライアンスに影響しうる「ハード」面と「ソフト」面を以下のとおり整理してみました。
貴社のガバナンス・コンプライアンス体制/整備に、多少なりともヒントになれば幸いです。

現状 理想
「体制」 「態勢」
ハード面 ソフト面
組織
静的 動的
受動的 能動的
傍観者的態度 「一人称」で考える
違和感の放置 違和感を放置しない
保身/自分のため 会社のため/株主のため/次世代・後輩への使命感/いい会社を残そうという一体感・会社への愛着
当事者意識/責任感/リーダーシップの欠如 強い当事者意識/責任感/リーダーシップ
見て見ぬ振り/知らぬが仏/トラブルに巻き込まれたくない/触らぬ神に祟りなし/仕事を増やしたくない/君子は危うきに近寄らず/臭いものに蓋/先送り/逃げ 乃公出でずんば,の気概/敢闘精神/一歩踏み出す勇気/嫌われる勇気/義を見て為さざるは勇なきなり/「勇ましく高尚なる生涯」(内村鑑三)
セクショナリズム/縦割りの弊害/与えられた枠・役割に盲従・安住/言われたことだけをやる セクショナリズムに安住しない・甘えない/与えられた枠・役割を破る/言われたことだけではなく,期待された・期待されていないことまでやる

株式会社サイバーエージェント 曽山哲人さんの講演の感想

【コラム】

東京経営者協会のセミナーで、株式会社サイバーエージェントの人事を司る取締役曽山哲人さんの講演を聴きに行ってきました。 サイバーエージェントは、若手が生き生きと活躍している有望企業で、その組織運営から学ぶことがあるかなと期待したからです。 下の3点を学びました。


若手に強い承認欲求

フェイスブックやインスタグラムやtwitterの「いいね!」機能が発達していることから、最近の若手は承認欲求が強い。
その欲求を満たすような人事制度・雰囲気作りが大事だ、と。
時代に合わせた柔軟な人事戦略を構築することが大事、という意味で勉強になりました。


「決断経験」が人を成長させる

決断経験とは、「やったことがないことをやること」と定義していました。
何かを「断つ」こととも言えそうです。
藤田晋社長が24歳で資本金1000万円で始めたサイバーエージェント。
若手には、その年齢で、その金額より大きな会社を立ち上げさせたりしているそうです。
金銭的な指標はわかりやすくていいですね。


「4象限」の人事制度

縦軸に「非金銭的/感情報酬⇔金銭報酬」を、横軸に「挑戦⇔安心」を。
従業員は、「金銭報酬」+「安心」を求めるものの、実は、「感情報酬」+「挑戦」の象限に入る制度が会社を成長させる、というのはなるほどな、と思いました。

国際競争力強化に向けた 日本企業の法務機能の在り方

【コラム】

経産省から,「国際競争力強化に向けた 日本企業の法務機能の在り方研究会 報告書」が発表されました。

グローバル化・IT化が進む中で,リーガルリスクを「チャンス」に変えていく戦略的な法務機能が不可欠,と謳っています。参考になりそうな点・データを以下にお示しします。


守りの「ガーディアン」のみならず,攻めの「パートナー」としての法務機能

…特に私は,海外関連会社をモニター・監査する場合に,海外現法の立場に立って,「パートナー」的に日本本社の管理部がサポートすることが大事だと思っています。


日米比較データ

大手企業が対象ですが,アメリカの方がだいぶ法務部が活躍しています。

日本 アメリカ
法務職員(平均) 18.9名 40-80名
インハウスロイヤー/法務職員 17.4% 70%弱
GCまたはCLO設置 22.4%
(法務担当役員)
100%
経営陣から法務部門が意見を
週に1度以上求められる
22.1% 70%弱
重要案件に常に法務部が参加 9.1% 25.9%
重要案件の変更可能性 9.4% 44.4%

IPBA(環太平洋法曹協会)年次総会のレポート

【コラム】


IPBAの年次総会のためにマニラに行ってまいりました。年次大会は11年連続の出席です。

今回は、Airbnbではなく、一応安全も考えてちゃんとしたホテルに泊まりました
(が、ボニファッシオは安全なのでAirbnbでよかった…)。

IPBAでは、会員委員会の副委員長及び役員を務めていますので、
例年通り早めにマニラに入りました。
創立精神であるSpirit of Katsuura(IPBA公式HPにも書いてあります) の紹介を含めて、
大勢の前で役員としてたくさん発言しました。

会員は現在1,200人弱ですが、2,000人くらいまでの安定した数字を目指して、
増やそうと思っています。

初日のウェルカムレセプション頃、アルゼンチンの友人から
「Anti-Corruptionセッションのスピーカーがドタキャン…だれかスピーカーできない?」
というメッセージをもらいました。贈賄は私の得意分野ですので、
急遽セッションの2日くらい前に、スピーカーに立候補しました。

ウェルカムレセプション後は、日本人弁護士が海外弁護士を招待する、
恒例のJapan Night。私が幹事として毎年開催していますが、
今年は今までで最高の190人の方に集まってもらいました。
来年のシンガポール大会では優に250人くらいは集まりそうです!


セッションの合間には、会場ホテルのプールサイドなどで、
日本の若手弁護士や海外の友人と、海外法律情報、働き方、政治、経済、人生を語ったりしました。
また、水泳レースをしたりして、忌憚なく「ハダカ」の付き合いをするいい機会です。

腐敗防止のスピーカーは難なく務めて、ディナーの後は、毎晩ダンスをする機会があります。
初日と二日目に行ったダンスクラブの音楽の質が低かったので、
最終日Farewell Dinner 後には、マニラ最高級クラブValkyrie を予約して、
100人くらい?のIPBAの友人と楽しみました。IPBAの11年の経験の中で、最高のクラブ・夜でした!

マニラに出席した弁護士は計1022人でした。要するに弁護士の「営業」の機会なので、
目立つことが眼目であるはずなのに、男性はおしなべてダークスーツにタイで個性を殺しています。
女性は比較的自由な格好が許されるのに、男性のみ単調で退屈なドブネズミルックを強いられる
世の中のプロトコルには異議を唱えたいです。

その思いを表現すべく、今回は私は白ジャケットと派手目の開襟シャツしか着ませんでした。
産業革命以来、涼しい英国から始まったスーツの伝統。でもこれからはアジアの時代。
暑いアジアで始まった「環太平洋」法曹協会では、みんなもっとラフで自由な格好をすればいいんじゃないのかな…
という問題提起をしてみました。

Be the change! の気概をもって。

2017年腐敗指数の発表

【コラム】

2017年の腐敗防止認識指数(Corruption Perception Index)が、トランスペアレンシー・インターナショナルから発表されました。
アジアを中心とする海外主要国の、2013年からの過去5年の推移を見ると、以下のとおりです。

最新データでも、ブラジルとフィリピンが伸びていない(クリーンになっていない)という特徴が読み取れます。
海外投資には、まだまだ贈賄の注意が必要だと思わされます。


◆シンガポール  5位 → 7位 → 8位 → 7位 → 6位
◆日本 18位 → 15位 → 18位 → 20位 → 20位
◆マレーシア 53位 → 50位 → 54位 → 55位 → 62位
◆ブラジル 69位 → 69位 → 76位 → 79位 → 96位
◆インド 94位 → 85位 → 76位 → 79位 → 81位
◆中国 80位 → 100位 → 83位 → 79位 → 77位
◆インドネシア 114位 → 107位 → 88位 → 90位 → 96位
◆スリランカ 91位 → 85位 → 83位 → 95位 → 91位
◆タイ 102位 → 85位 → 76位 → 101位 → 96位
◆フィリピン 94位 → 85位 → 95位 → 101位 → 111位
◆ベトナム 116位 → 119位 → 112位 → 113位 → 107位
◆ミャンマー 157位 → 156位 → 147位 → 136位 → 130位

年別アーカイブ

ここに記載した情報は、法律的またはその他のアドバイスを目的としたものではありませんので、あらかじめご了承ください。

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グローバル・ガバナンス・コンプライアンス研究会

BLOG 代表弁護士中山達樹

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