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(コンプライアンス的な)ドッジボールではなく(インテグリティ的な)キャッチボールを

【コラム】

コミュニケーションの分野で,キャッチボール的会話とドッジボール的会話ということが言われます。

ドッジボールは悪いコミュニケーション。相手方のことを考えない会話。取れるもんなら取ってみろ!的に乱暴に伝える言葉です。これはドッジボールの外野(もしくはボールを投げる内野),「投げ手」をイメージしています。

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しかし,ドッジボールの「ドッジ(dodge)」は,英語で「よける」という意味。ドッジボールの内野です。外野ではなく。ボールをよける人。投げる人ではなく。投げ手ではなく「よけ手」「受け手」。

伝達者(投げ手)が,相手の立場を考えずにコミュニケーションする,という意味でドッジボールを使うと,その文脈と「ドッジ」の本義は,やや遠いというか異なります。

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そこで私は,上記のようなコミュニケーションだけではなく,コンプライアンスやインテグリティの文脈で,キャッチボールとドッジボールの違いを提唱しています。ドッジの「よける」という本義に近づけて。

会社とは,コミュニケーションのネットワークです。経営とは,伝言ゲーム。いい会社では,社長の言うことが,役員→部長→課長→係長…と適切に遺漏なくコミュニケーション(伝言)されていきます。しっかり会話が「キャッチ」されます。

これが理想です。上司からのコミュニケーションにおいて,部下が適切にキャッチする。キャッチボールができている。しっかりした上意下達。

しかし,現実はどうでしょう。「私,それ聞いてませんでした」「そんな指示ありましたかね…」「よく理解できていませんでした」「メール見てませんでした」「メールにCCに来てるだけで,私を宛先としていないから,私には見る義務ありません」…などという言い訳や嘘が横行しています。上司としては「すっとぼけてるな…」と思いますよね。

このような「知らんぷり」はコンプライアンスの危機です。どの会社にもある「中間フライ」を拾わない。拾いに行かない。見て見ぬふりをする。逃げる。知らぬ顔の半兵衛を決め込む。知らぬが仏。触らぬ神に祟りなし。気づいたら(取りに行ったら)仕事が増えますから。。 仕事増えても給料や出世に影響しないし… だからポテンヒットが生まれてしまいます。

このように,我々の多くはドッジボールの「内野」をしています(偉そうに書いていますが,私もしたことがあります。。)。自分を宛先(当事者)として来ているのかもしれないコミュニケーションを巧みに「よける(ドッジする)」。スルーする。無責任な責任転嫁。自己保全。保身。安全パイ。矢面に立たない。

これはよくありません。会社の意思伝達は,ドッジボールではなく,キャッチボールを目指すべきです。逃げない。取りに行く。イニシアティブや意欲,主体性・責任感という言葉でも表現できます。最近は「エンゲージメント」と表現されるようにもなりました。

この「中間フライを取りに行く」積極的な姿勢が,まさにインテグリティです。Courage to meet the demands of realityというインテグリティの定義(ヘンリー・クラウド)に合致します。勇気が必要です。ドッジはしません。

「守る」というニュアンスの「コンプライアンス」という言葉をイメージするだけでは,中間フライを積極的に取りに行こうぜという気持ちになりません。一方,「自発的・自律」「一人称で自分ごととして考えよう」というニュアンスの「インテグリティ」なら,中間フライを取りに行こうという方向に働きます。

このように,インテグリティにはjob description の間隙を埋める(中間フライを取る)という機能もあります。ドッジボール(知らんぷり)はやめようぜという方向に機能するのです。

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仕事のみならず,すべてのコミュニケーションにおいて,「ドッジ」せず,その送り手とがっぷり4つで向き合って,堂々とリスクを取って「キャッチ」したいですね。

海外法人の役員の要件

【コラム】

取締役などの海外法人の役員については,以下の要件が日本と異なります。

■最低取締役数

 ほとんどの国では1名で足りますが,インド・ミャンマーでは最低2名が必要ですし,中国では3名(の董事)が必要です。

 なお,フィリピンには,取締役は最低1株を保有しなければならないという要件があります。

■会社秘書役(Company/Corporate Secretary)

(1) 意義



 シンガポール,インド,フィリピン,マレーシアには会社秘書役を設置する必要があります。セクレタリーという単語から「秘書役」と誤訳されますが,要するに事務局・事務担当役員です。事務総長(Secretary General)や,アメリカの国務長官(Secretary of State)をイメージしてください。秘書というニュアンスとは異なります。

仕事内容は,総務部長や行政書士のような,議事録の作成・登録などのアドミ的な仕事です。

(2) 実務的対応

 この会社秘書役を探すのは,それほど難しくありません。代行会社や弁護士に,年間いくらかの代行費用を支払って引き受けてもらいましょう。
 このため,会社秘書役の存在や要件が,海外ガバナンス(機関・役員構成)のネックになることはありません。

■居住要件

取締役

 インド,シンガポール,マレーシア,ミャンマー,ベトナムでは取締役のうち1名がその国に居住することが必要です。フィリピンの取締役の居住要件は2019年改正法で撤廃されました。

 ブラジルでは,ブラジルに居住していない取締役(非居住取締役)は,代理人を選任する義務があります。

会社秘書役

 シンガポール,フィリピン,マレーシアの会社秘書役はその国に居住する必要があります。

財務役

 フィリピンの財務役はフィリピンに居住する必要があります。


■国籍要件

 国籍要件はほとんどなく,フィリピンの会社秘書役のみがフィリピン国籍である必要があります。

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グローバル・ガバナンス・コンプライアンス研究会

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