「正しさ」と「美しさ」の違い
【コラム】
最近、私は「正しさ」と「美しさ(カッコよさ)」を区別しています。
「正しさ」は歪み得る。色褪せる。理屈でいくらでも言いくるめることができる。
例えば、会社ぐるみで不正をしているときに、その会社方針に従うことは、儒教的上下関係においては「正しい」。組織を守る、上司を立てる、先輩を敬うことだから。
しかし、「美しく」ない。カッコよくない。
かように、「正しさ」は往々にして歪み得る。でも、「美しさ」は歪まない。色褪せない。
この「正しさ」と「美しさ」の違いは、以下のように整理できます。
正しい | 美しい |
---|---|
理性 | 感性 |
アタマ | ココロ |
合理 | 不合理 |
コンプライアンス | インテグリティ |
歪み得る(色褪せる) | 歪まない(色褪せない) |
歯止め効かない(暴走し得る) | 歯止め効く(暴走しない) |
横並び | 横ブレしない(縦) |
Right | Righteous |
正しいけど、美しくない(=当時はある意味「正しかった」けど、数十年経って正しくないとされる)例を挙げてみますと、、、、
- ✓ 十字軍
- ✓ 尊王攘夷
- ✓ 富国強兵
- ✓ 満州事変
- ✓ 真珠湾攻撃
- ✓ 神風特攻
- ✓ 原爆投下
- ✓ ナチ虐殺
- ✓ 制限選挙
- ✓ 文化大革命
- ✓ 24時間戦えますか(的な会社の風潮)
以上が挙げられます。
みなさんの身の回りにも、「正しい」と言えるけど「美しくない」例はありませんでしょうか。そういう事例にどう対処するかに、インテグリティが強く問われます。
※参考文献:『組織不正はいつも正しい』(中原翔著)、「縦と横」(私のブログ)
感性を磨くための「非日常」を味わうコツ
【コラム】
トヨタ等の大企業でも不祥事が絶えません。
これは、社内常識に違和感・引っ掛かりを感じる「感性」が鈍っていることが大きな原因です。
「感性」が鈍ると、いつしか社内の「正しさ」が歪み、世間との乖離を生んでしまいます。「正しさ」を常に相対化する努力、つまり組織の「遠心力」を保つ工夫が必要です。
では、「正しさ」を歪ませない「遠心力」を保つために、どうやって「感性」を磨けばいいのでしょうか。
コツは、「非日常的」な状態に身を置くことです。
具体的には、「場所」「人」「モノ」のいずれかにおいて、意識的に「非日常」に接してください。
■ 場所
非日常的な「場所」に行きましょう。
例えば、「山登りをしたことがないけれど、山に行く」「落語に詳しくないけれど、寄席に行く」「普段聴かないクラシック音楽のコンサートに行く」「いつもと違う図書館に行く」などです。
■ 人
非日常的な「人」に会いましょう。
例えば、「仕事に繋がらない人と交流する」「旧友に久しぶりに連絡してみる」「地元のボランティアやお祭に参加する」などです。
■ モノ
非日常的な「モノ」に接しましょう。つまり、
- 目に入るモノ(景色)
- 耳に入るモノ(音楽)
- 口に入るモノ(飲食物)
- 鼻に入るモノ(匂い)
- 手に触れるモノ
を変えるということです。例えば、「普段行かないコンビニ・スーパーに行く」「髪型を変える」「勧められた本は全部買う」などです。
以上の「場所」「人」「モノ」で非日常を味わうことは、より具体的には、以下で「仕組み化」できます。
✓ 季節に1回は小旅行に出る
✓ 月に1回は映画を観る & 人を会食に誘う
✓ 週に1回は本屋に行く
組織目標を実現するため、社内で頑張ることも大事です。
しかし、それと同じくらいか、それ以上に、社外に出て、「感性」を研ぎ澄ますことも大切です。
上記の仕組み・コツを参考になさってください。