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移送において要求される証明の程度

【コラム】

先日,東京高等裁判所で,移送決定に関する抗告事件に関し,興味深い決定(逆転勝訴)を得ましたので,ご報告差し上げます(平成31年1月31日決定)。

「土地管轄の原因となる事実(例:不法行為の事実)が存在すると認めるためには,疎明ではなく,証明しなければならない。

もっとも,証明の程度は,本案と同程度の心証は不要で,それよりも軽度の心証で足りる」という内容のものです。

つまり,移送を争う場合に,例えば不法行為地の立証が必要となるときは,以下の1でもなく,3でもなく,2の程度の立証が必要であり,それで十分だということになります。

1 疎明 一応確からしいという心証
2 証明 軽度の心証
3 証明 本案と同程度の心証

この点を論じる文献はほとんどないと思われましたので,ご参考までに,ここでご紹介いたします。

グローバル・ガバナンス・コンプライアンス研究会 申込受付中です

【コラム】

2月26日(金)午後6時30分~午後9時30分、海外進出企業のコンプライアンス担当の企業の皆様向けに,代表弁護士中山達樹が,第1回フォーラムを立ち上げました。

お申込みはこちらからお願いします。

「グローバル・ガバナンス/コンプライアンス研究会」立ち上げのお知らせ

【コラム】

日産カルロス・ゴーン会長逮捕などに見られるように,内部通報制度やグローバル・ガバナンス/コンプライアンスの重要性がさらに高まっています。

とはいえ,海外法務,グローバル・ガバナンス/コンプライアンス(そして,そのための海外人材育成)は,ほとんど,いや全ての日本企業が,情報が極めて限られている中,暗中模索している,というのが実情です。

そこで,代表弁護士の中山の,これまでの経験と人脈を活かし,「グローバル・ガバナンス/コンプライアンス研究会(仮称,略してGGC)」を立ち上げます。
趣旨は,「企業さんの情報交換の機会・フォーラムを作り,海外事業をよりスムーズに行うことの支援」です。

企業の担当者(監査役,海外担当役員,海外法務/コンプライアンス担当)が,互いの悩みを共有したり,それぞれの課題や奮闘を,情報交換できる機会/フォーラムを形成します。

研究会の仔細の内容はおってご案内差し上げます。「このような会にしてほしい」「こういう情報がほしい」「こういうテーマを扱ってほしい」などのご意見等ございましたら,ご遠慮なくご連絡くださいますようお願い申し上げます。
*ご連絡先* info@nkymlaw.jp

「デザイン法務」研究会の立ち上げについての意見交換

【コラム】

パナソニックでベイツ弁護士がGC(ジェネラル・カウンセル)に任命されたことに象徴されるように、
インハウスロイヤーの増加等から、
法務・法務部・弁護士の役割が、変わってきている
(より具体的には、よりPROACTIVEないし積極的なレベルの高い提言が求められるようになっている)
と感じています。

そんな昨今、私は、グローバル・ガバナンス・コンプライアンスのセミナーで、
視聴者に対して、
  「デザイン」
することの重要性を、ここ2年くらい、説いています。

具体的には、法的リスクを、事後的に対処するのではなく、
  <そんなリスクがあるなら、最初から、その目を摘んでおけば良い>
という意味合いです。

よく引き合いに出すのは、以下の例です:
1 コモンローでは、契約成立にConsiderationが必要
2 だから「一筆書かせる」(片務的な義務を負わせる)だけでは契約不成立
3 退職者がライバル企業に行くのを防止したい場合にどうするか?
4 退職時に「一筆書かせる」のはNG
5 採用時に、就業規則や雇用契約で記載 等

このような例を、豊富に集めて(海外・国内を問わず)、
  「デザイン法務」
という概念を、打ち出したい/強く強調したいと思っています。

このような研究会、ブレストに、ご興味ある方からのご連絡をお待ちしております。
(ランチ等で、意見交換の場をご用意させていただければ幸いです。)
*ご連絡先* info@nkymlaw.jp

蘇州レポート

【コラム】

蘇州は、三国志の呉の首都で、いわば、京都と筑波とシリコンバレーとシンガポールを混ぜたような街です。
初めてですが、とても大きなインパクトを受けました。現地に足を運ばないと、肌感覚として実感できない、多くのものを得ました!



1 中国全体の、「圧倒的」な質量感(と高級感とスピード感)

独墅湖(DUSHU LAKE)の湖畔から眺める、対岸に広がる高層ビル群から、日本人との「空間感覚」「規模感覚」の違いを感じました。

中国には、中産階級が4億人もいて、これから発展するこれらの民の、勢い・息吹を感じました。「量が質を担保する」ことから、これからの中国製品やサービスの質も、驚くほど向上することが伺われました。

具体的には、NPS(Net Promotional Score)-「人に勧められるか」という尺度で人もサービスも判断され、スコア化されるようになっています。この「信用の可視化」により、中国人の民度も驚くほど上がっています!

また、中国といえば大気汚染が有名でしたが、これももう昔話になりました。数年で空気も綺麗になっています。これは、政府の政策の浸透度が早いことを意味します。一党独裁の持つ利点の一つといえます。

日本の戦後と同様、まだ中国では産業政策が競争政策を凌駕しており、特定の成長分野では、政府が指定企業に独占させることで、スピードを促進しています。

このような動きというか勢いを肌で感じ、もはや「中国抜きでビジネスは一言も語れない」と悟りました。


2 中国の「驚異的」発展

見聞した限りで、中国の「驚異的な」発展を示すものをいくつか列挙します。

(1) 例1:摩天楼の建設数(200メートル以上の高層建築物 2016年)
世界で128
中国 84(9年連続の首位)
うち深セン 11
アメリカ 7
韓国 3
日本 1 (名古屋のJRゲートタワーのみ)
中国対日本は、84対1です…
(2) 例2:高速鉄道
営業距離 日本の新幹線の7倍
利用客数 日本の3倍
速度 日本の1.3倍くらい?
あっという間に、日本の新幹線を凌ぐ乗り物になりました。
(3) 例3:社会のIT化
・ALIBABA系の、ZHIMA CREDITが、支払能力/信用を可視化しており、クレジットが髙いと、合コンでもてる、とか、海外に行きやすくなる、とか、ホテル泊まる際のデポジットが不要になる、とかなどの利便性を獲得できます。
データ化→信用の可視化→自由の獲得&民度の向上、という図式です。
・5つ星ホテルにいくと融資枠が上がり、貧しいところに行くと融資枠が下がったりします。
・EC化率 日本よりも、アメリカよりも、進んでいます。
日本6% アメリカ12% 中国15%
・Wechatの方が手数料が安い(0.3%)ため、巷の店もクレジットカード(3%)を受け付けません!
・DiDi(滴滴出行)−
運転手が、急ブレーキを掛けた後に、トラブルの相手方の運転手に対して文句を言ったり悪態をついたりする、短気と認識されて、保険料が上がったりします。
・ジンドン … 商品の配達員が、配達した帰りに、自主的に、無料で、ゴミを持って帰ってくれたりします。
これは、NPS(Net Promotional Score)に基づく、カスタマーレビューの評価を上げるため。
「人に勧めたいか」が基準として、評価される社会になっています。

3 中国経済

(1) 将来性
一人あたりGDPだと、中国はまだまだ日本の終戦直後レベル。だから、中国は、これからまだまだ成長の余地あり!といえます。
実際、中国高官が、シンガポールを「上から目線」で見るようにまで成長しています。
(2) 地域格差
中国の地域格差は大きく、都市部と農村部で経済レベルが3倍も違います。
ですから、沿岸部に偏在する富をどうやって農村部に還元するかが、国家的課題となっています。
(3) 政府の関与
B to B は政府主導で、国営企業が幅を効かせています。
一方、B to C / C to C (私企業)は、政府が関知しません。戦略的に政府が重要と思っていないからのようです。
国際競争力を高めるために−アリババテンセントが好例−、政府は独占禁止法も適用せずに、成長させています。ただ、今後、いつまで政府がこれらの私企業の営為を黙認するかは、不明です。

例えば、政府は、指定産業につき、指定企業に堂々と担当させています。 医療分野のテンセント、スマートシティーのアリババ、自動運転の百度、音声認識のアイフライテック、のようにです。


4 仕事のポートフォリオの見直し

私は英語が得意なので、中国との仕事はあまり伸ばしてきませんでしたが、今後は、中国語を勉強したりして、仕事のポートフォリオ、資産のポートフォリオ、語学のポートフォリオ、人脈のポートフォリオを、大きく、中国シフトさせないといけないと痛感しました。


【協力型司法取引】2018年6月1日施行の改正刑事訴訟法の5つのポイント

【コラム】

1 今月1日から開始された司法取引制度のポイントは以下のとおりです。

(1) 自らの違法行為ではなく、他人(ターゲット)の行為に関する情報提供が、司法取引の材料となる、いわゆる協力型であること(刑事訴訟法第350条の2第1項)。
⇒自らの違法行為を認めたとしても、司法取引とは直接関係がありません。この点で、独禁法上のいわゆるリニエンシー制度とは異なります。
(2) 司法取引の材料となりうる対象行為は、特定の犯罪行為に限られていること(同条2項)。
⇒贈収賄罪や詐欺等のほか、租税法や独占禁止法、金融商品取引法の罪なども含まれます。
(3) 検察官(警察官ではない)と、本人(弁護人は同席必須)の間で司法取引が行われること(同法350条の4本文)。なお、本人の同意があれば、検察官と弁護士との間との取引でも司法取引が可能です(同ただし書)。
(4) 検察官が本人と合意できる取引内容は、不起訴処分など7類型に限定されていること(同法第352条の2第1項2号)。
(5) 上記(2)の対象にならない犯罪行為は、同時期に施行される刑事免責制度の活用が想定されること。

2 上記(5)刑事免責制度も、今般の改正の一つの柱です。別の機会に記載します。 (シニア・アソシエイト弁護士 得重 貴史)

コンプライアンスの「ソフト面」

【コラム】

最近、グローバル・ガバナンス/コンプライアンスに研鑽を深めるにつれ、「ガバナンス」や「コンプライアンス」は畢竟、コミュニケーション/人/ソフト面の影響が大きい、と思っています。

より具体的には、静的・受動的なハード面の「体制」構築で終わるではなく、むしろそれをスタートにして(より踏み込んだ)、動的・能動的なソフト面の「態勢」整備にまで繋げるべきです。

ご参考までに、ガバナンス・コンプライアンスに影響しうる「ハード」面と「ソフト」面を以下のとおり整理してみました。
貴社のガバナンス・コンプライアンス体制/整備に、多少なりともヒントになれば幸いです。

現状 理想
「体制」 「態勢」
ハード面 ソフト面
組織
静的 動的
受動的 能動的
傍観者的態度 「一人称」で考える
違和感の放置 違和感を放置しない
保身/自分のため 会社のため/株主のため/次世代・後輩への使命感/いい会社を残そうという一体感・会社への愛着
当事者意識/責任感/リーダーシップの欠如 強い当事者意識/責任感/リーダーシップ
見て見ぬ振り/知らぬが仏/トラブルに巻き込まれたくない/触らぬ神に祟りなし/仕事を増やしたくない/君子は危うきに近寄らず/臭いものに蓋/先送り/逃げ 乃公出でずんば,の気概/敢闘精神/一歩踏み出す勇気/嫌われる勇気/義を見て為さざるは勇なきなり/「勇ましく高尚なる生涯」(内村鑑三)
セクショナリズム/縦割りの弊害/与えられた枠・役割に盲従・安住/言われたことだけをやる セクショナリズムに安住しない・甘えない/与えられた枠・役割を破る/言われたことだけではなく,期待された・期待されていないことまでやる

株式会社サイバーエージェント 曽山哲人さんの講演の感想

【コラム】

東京経営者協会のセミナーで、株式会社サイバーエージェントの人事を司る取締役曽山哲人さんの講演を聴きに行ってきました。 サイバーエージェントは、若手が生き生きと活躍している有望企業で、その組織運営から学ぶことがあるかなと期待したからです。 下の3点を学びました。


若手に強い承認欲求

フェイスブックやインスタグラムやtwitterの「いいね!」機能が発達していることから、最近の若手は承認欲求が強い。
その欲求を満たすような人事制度・雰囲気作りが大事だ、と。
時代に合わせた柔軟な人事戦略を構築することが大事、という意味で勉強になりました。


「決断経験」が人を成長させる

決断経験とは、「やったことがないことをやること」と定義していました。
何かを「断つ」こととも言えそうです。
藤田晋社長が24歳で資本金1000万円で始めたサイバーエージェント。
若手には、その年齢で、その金額より大きな会社を立ち上げさせたりしているそうです。
金銭的な指標はわかりやすくていいですね。


「4象限」の人事制度

縦軸に「非金銭的/感情報酬⇔金銭報酬」を、横軸に「挑戦⇔安心」を。
従業員は、「金銭報酬」+「安心」を求めるものの、実は、「感情報酬」+「挑戦」の象限に入る制度が会社を成長させる、というのはなるほどな、と思いました。

国際競争力強化に向けた 日本企業の法務機能の在り方

【コラム】

経産省から,「国際競争力強化に向けた 日本企業の法務機能の在り方研究会 報告書」が発表されました。

グローバル化・IT化が進む中で,リーガルリスクを「チャンス」に変えていく戦略的な法務機能が不可欠,と謳っています。参考になりそうな点・データを以下にお示しします。


守りの「ガーディアン」のみならず,攻めの「パートナー」としての法務機能

…特に私は,海外関連会社をモニター・監査する場合に,海外現法の立場に立って,「パートナー」的に日本本社の管理部がサポートすることが大事だと思っています。


日米比較データ

大手企業が対象ですが,アメリカの方がだいぶ法務部が活躍しています。

日本 アメリカ
法務職員(平均) 18.9名 40-80名
インハウスロイヤー/法務職員 17.4% 70%弱
GCまたはCLO設置 22.4%
(法務担当役員)
100%
経営陣から法務部門が意見を
週に1度以上求められる
22.1% 70%弱
重要案件に常に法務部が参加 9.1% 25.9%
重要案件の変更可能性 9.4% 44.4%

IPBA(環太平洋法曹協会)年次総会のレポート

【コラム】


IPBAの年次総会のためにマニラに行ってまいりました。年次大会は11年連続の出席です。

今回は、Airbnbではなく、一応安全も考えてちゃんとしたホテルに泊まりました
(が、ボニファッシオは安全なのでAirbnbでよかった…)。

IPBAでは、会員委員会の副委員長及び役員を務めていますので、
例年通り早めにマニラに入りました。
創立精神であるSpirit of Katsuura(IPBA公式HPにも書いてあります) の紹介を含めて、
大勢の前で役員としてたくさん発言しました。

会員は現在1,200人弱ですが、2,000人くらいまでの安定した数字を目指して、
増やそうと思っています。

初日のウェルカムレセプション頃、アルゼンチンの友人から
「Anti-Corruptionセッションのスピーカーがドタキャン…だれかスピーカーできない?」
というメッセージをもらいました。贈賄は私の得意分野ですので、
急遽セッションの2日くらい前に、スピーカーに立候補しました。

ウェルカムレセプション後は、日本人弁護士が海外弁護士を招待する、
恒例のJapan Night。私が幹事として毎年開催していますが、
今年は今までで最高の190人の方に集まってもらいました。
来年のシンガポール大会では優に250人くらいは集まりそうです!


セッションの合間には、会場ホテルのプールサイドなどで、
日本の若手弁護士や海外の友人と、海外法律情報、働き方、政治、経済、人生を語ったりしました。
また、水泳レースをしたりして、忌憚なく「ハダカ」の付き合いをするいい機会です。

腐敗防止のスピーカーは難なく務めて、ディナーの後は、毎晩ダンスをする機会があります。
初日と二日目に行ったダンスクラブの音楽の質が低かったので、
最終日Farewell Dinner 後には、マニラ最高級クラブValkyrie を予約して、
100人くらい?のIPBAの友人と楽しみました。IPBAの11年の経験の中で、最高のクラブ・夜でした!

マニラに出席した弁護士は計1022人でした。要するに弁護士の「営業」の機会なので、
目立つことが眼目であるはずなのに、男性はおしなべてダークスーツにタイで個性を殺しています。
女性は比較的自由な格好が許されるのに、男性のみ単調で退屈なドブネズミルックを強いられる
世の中のプロトコルには異議を唱えたいです。

その思いを表現すべく、今回は私は白ジャケットと派手目の開襟シャツしか着ませんでした。
産業革命以来、涼しい英国から始まったスーツの伝統。でもこれからはアジアの時代。
暑いアジアで始まった「環太平洋」法曹協会では、みんなもっとラフで自由な格好をすればいいんじゃないのかな…
という問題提起をしてみました。

Be the change! の気概をもって。

2017年腐敗指数の発表

【コラム】

2017年の腐敗防止認識指数(Corruption Perception Index)が、トランスペアレンシー・インターナショナルから発表されました。
アジアを中心とする海外主要国の、2013年からの過去5年の推移を見ると、以下のとおりです。

最新データでも、ブラジルとフィリピンが伸びていない(クリーンになっていない)という特徴が読み取れます。
海外投資には、まだまだ贈賄の注意が必要だと思わされます。


◆シンガポール  5位 → 7位 → 8位 → 7位 → 6位
◆日本 18位 → 15位 → 18位 → 20位 → 20位
◆マレーシア 53位 → 50位 → 54位 → 55位 → 62位
◆ブラジル 69位 → 69位 → 76位 → 79位 → 96位
◆インド 94位 → 85位 → 76位 → 79位 → 81位
◆中国 80位 → 100位 → 83位 → 79位 → 77位
◆インドネシア 114位 → 107位 → 88位 → 90位 → 96位
◆スリランカ 91位 → 85位 → 83位 → 95位 → 91位
◆タイ 102位 → 85位 → 76位 → 101位 → 96位
◆フィリピン 94位 → 85位 → 95位 → 101位 → 111位
◆ベトナム 116位 → 119位 → 112位 → 113位 → 107位
◆ミャンマー 157位 → 156位 → 147位 → 136位 → 130位

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