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消極的マネージャーを積極的リーダーに

【コラム】

インテグリティ導入により,消極的なマネ―ジャーが積極的なリーダーになります。

■マネジメントとリーダーシップの違い

ドラッカーなどが,「マネジメントはDo things right(ちゃんとやる)だが,リーダーシップはDo the right thing(正しいことをやること)である」と言っています。

単に指示どおりに消極的に管理するだけのマネージャーとは異なり,リーダーには積極的に「何が正しいか」を自ら示すことが求められます。

■コンプライアンスはマネジメント

このリーダーシップ論と軌を一にするように,「コンプライアンスは消極的なマネジメントで,インテグリティは積極的なリーダーシップ」といえます。

まず,コンプライアンスは「ある行為が法律やコンプライアンス規程に反するか」という現在ないし過去に向けられています。

規程等のハードローを実際の行為にあてはめて,コンプライアンス違反という「結果」を出さないことに重点が置かれます。

■インテグリティはリーダーシップ

一方,インテグリティは,「会社理念をどのように実現するか」「どのような企業文化を創るか」という未来に向けられます。

また,インテグリティはコンプライアンスより広く緩い規範(ソフトロー)なので,インテグリティある振る舞い(正しいこと)を心がける「過程」に重きが置かれます。そして,そのような企業文化を創ろうとする前向きな営みです。

こう考えると,コンプライアンスはマネジメントと同様にDo things right(ちゃんとやる)ですが,インテグリティはリーダーシップと同様にDo the right thing(正しいことをやる)に分類できます。そのため,インテグリティ導入により,部長・課長クラスの人材がリーダーシップを発揮できるようになります。

なお,コンプライアンスは主に第2線(管理部門)が主導しますが,インテグリティは企業理念や企業が進む方向性に関わるので,経営者(社長)が主導しなければいけません。

リーチングアウト(Reaching out)

【コラム】

インテグリティは,その8割はコンプライアンスと同様の意義を持ちますが,2割はリーダーシップで構成されているといえます。そのリーダーシップの部分を「リーチングアウト」(Reaching out:自分の担当の隣接する領域にまで手を伸ばすこと)という言葉で説明します。

なお,ここにいう「リーダーシップ」は,リーダー起点のトップダウンの意味のみではなく,メンバー全員がチームのために積極的に行動することを意味します。

仕事を増やせば売上も増える自営業者と異なり,会社員の方の多くは「仕事を減らしたい」と考えています。仕事を増やしても出世や昇給に影響しない場合,見返りのない行為をするインセンティブが働かないからです。

特に,コンプライアンス関係の仕事については,90%の社員が「仕事をしたくない」と考えています。そのため,Job description(各人の業務内容)の間隙に落ちる「中間フライ」を拾わない「ポテンヒット」が多く発生します。このポテンヒットの原因は違和感の放置です。

そこで,インテグリティ概念を導入すれば,One Team実現のために違和感を放置せず積極的に仕事を拾うようになります。このように「周りに手を伸ばして積極的に仕事を拾う」ことがリーチングアウトです。

コンプライアンスの文脈のみならず,どの部署の誰が対処すべきか不明確な仕事(中間フライ)を認識した際,逃げずにリーチングアウトすれば,ポテンヒット(誰も仕事しないミス)を防げます。これは組織のパフォーマンス向上に役立ちます。

ポテンヒット防止には,規則や仕組みを増やすのではなく,リーチングアウトの工夫が最も役立ちます。

One Teamを目指すために面倒なコミュニケーションから逃げないという「勇気」も,リーチングアウトと同様,インテグリティの重要な要素です。完全性を本義とするインテグリティは美徳の集合体であるため,勇気もインテグリティの重要な要素なのです。

オンライン就職合同説明会開催のお知らせ

【コラム】

経験弁護士・75期司法修習生向けのオンライン就職合同説明会に以下日程(同内容)で参加いたします。

9月9日(木)11:30-12:00

9月16日(木)12:00-12:30

登録 https://www.kailashstyle.co.jp/lawyer/
*参加方法については、主催会社にお問合せください。

採用エントリー https://nkymlaw-recruit.jp/entry/

ヒヤリハットの法則のコミュニケーション(不正防止)への応用

【コラム】

<1つの航空機事故には300のヒヤリハットがある>というヒヤリハットの法則は,違和感の共有(=カジュアルな声かけ)を通じて,組織のコミュニケーションに以下のように応用できます。

違和感の放置が軽微なミス発生に繋がる確率を仮に10分の1とします。

一人が1日1回,違和感を共有すれば,1年間の勤務日を250日として,年間に250回の違和感が共有されます。

250回の違和感の共有により,その10分の1の25件の軽微なミスが防げます。

25件の軽微なミスのうち,25分の1の確率で,1つくらいは大きな事故・トラブル・不祥事につながるとします。

そうすると,一人が1日1回の違和感を共有することで,1年間に1つの大きな事故を防止できます。

これを全従業員が行えば,かなり多数の事故防止につながります。単純計算では,100人の従業員が毎日一つの声かけ(違和感の共有)をすれば,年間で100個の事故・トラブル防止につながります。

日頃から気軽に「声かけ」できる関係を築いておきましょう。

コンプライアンス戦略とインテグリティ戦略

【コラム】

冬ころに中央経済社から『インテグリティ -コンプライアンスを超える組織論(仮題)』を出版します。その初稿作成にあたり文献を渉猟する中で,インテグリティの重要性を再認識しましたので,ご案内差し上げます。

企業倫理を保って不正を防止するには,30年前から,①コンプライアンス戦略と②インテグリティ戦略の2つがあるとされてきました。世界中で①コンプライアンス戦略が幅を利かせていますが,実は,昔から,②インテグリティ戦略の方が優れていると考えられていました。

まず,①コンプライアンス戦略は,懲罰のような制約により従業員を服従させる,いわば「北風」であり,「守り」です。不正防止のみにピンポイントで焦点を当てるため,「西洋医学的」ともいえます。

一方,②インテグリティ戦略は,従業員の一体化と組織目標へのコミットを目的とする「太陽」型であり,「攻め」といえます。この戦略は,価値志向(Value-oriented)型や価値共有型とも呼ばれ,企業理念実現の過程の中に漢方薬のように企業倫理維持を織り込むため,「東洋医学的」です。

不正を外科手術のように防止するのではなく,企業理念を実現させていきながらじわりじわりと倫理改革も行うイメージです。会社組織がOne Teamとして会社理念と一体化することを目指しています。

この企業倫理維持の2類型のうち,歴史的には①コンプライアンス型に軍配が上がってきました。これは,1991年の米国連邦量刑ガイドライン等に従い,コンプライアンスプログラムの構築や教育実施が経営者の免責事由になりうるため,コンプライアンス戦略の採用が経営者の「保険」として重宝されてきたからです。

日本でインテグリティよりもコンプライアンスが重視されてきたのも,この30年前からの「経営者の(保身的な)都合」に基づくものだったのです。

しかし,実は,②インテグリティ戦略の方が,①コンプライアンス戦略よりも「広く,深く,レベルが高い」ため,企業倫理維持及び不正防止のためにより強力(robust)で効果的とされています(Lynn S. Paine, 1994, “Managing for Organizational Integrity”)。

つまり,インテグリティ戦略は,従業員の企業理念に向けた責任ある行動を促すため,コンプライアンス戦略より「広い」です。インテグリティある組織では広くコンプライアンスも防止できるため,「インテグリティがコンプライアンスの防波堤」として機能します。極論を言えば,インテグリティがあればコンプライアンスは不要です。

また,インテグリティ戦略では,会社の価値観,行動様式,組織のオペレーションに踏み込みます。組織がOne Teamとして一体であることを志向するからです。そのため,コンプライアンス戦略より組織に「深く」組み込まれます。

さらに,インテグリティ戦略では,組織目標に向けた社員の積極的行動(リーダーシップ,勇気や積極的コミュニケーション)を要求します。そのため,コンプライアンス戦略よりインテグリティ戦略の方がより「要求レベルが高い」です。

このように,コンプライアンスよりもインテグリティの方が企業倫理維持・不正防止のためにはるかに効果的です。また,リーダーシップやコミュニケーション向上を内容とするインテグリティは,コンプライアンスを離れた組織のパフォーマンス向上にも役立ちます。この詳細はおって出版する『インテグリティ』でご紹介いたします。

不正防止及び企業理念実現のために,是非,インテグリティ概念を導入してください。

コンプライアンス・プログラムに必要不可欠な2つの要素

【コラム】

米国司法省(DOJ)は,2020年6月,企業のコンプライアンス・プログラムを評価するための指針の改定版を発表しました。

コンプライアンス・プログラムに必要不可欠な要素は,以下の2つです。

■ 管理職以上にある人々が,コンプライアンスに積極的に関与すること

コンプライアンス・プログラムを効果的なものにするには,管理職以上にある人々が,コンプライアンスに積極的に関与することが必要不可欠です。

例えば,以下のような具体的なアクションを積極的にとることが重要です。

(1) 自らの言葉と行動を通じて,不正調査に関わること

(2) 企業のコンプライアンスを率先垂範するために具体的な行動をとること

(3) 適切な行動を示すことにより,部下の模範になること

■ コンプライアンス・プログラムの成果を検証するために,優秀な人材と十分な資金とを投入すること

コンプライアンス・プログラムの成果を効果的に検証することができなければ,十分な機能を備えたコンプライアンスを構築することはできません。

効果的な検証のために,優秀な人材と十分な資金を投入することが必要です。

これらを投入することができていない企業のコンプライアンスは,十分な機能を備えていないと判断される可能性が高いです。

以上のとおり,特に,トップ(管理職)が「率先垂範するための具体的行動」を取ることや,「十分な資金を投入すること」が要請されていることに留意してください。

2020年の腐敗防止認識指数

【コラム】

トランスペアレンシー・インターナショナルによる腐敗認識指数(CPI)の2020年版につき,投資先として有望なアジアのデータを更新して,コメントします。
内容は例年どおりのデータと大差なく,タイとフィリピンが相変わらず停滞している(いずれも100位以下)くらいのコメントしかありません。
アジアの汚職状況は,「シンガポールがかなりクリーンで,マレーシアがそれに続くクリーンさで,それ以外はどんぐりの背比べ状態」とご認識していただいてよろしいかと思います。

外国公務員贈収賄防止指針の改定

【コラム】

経済産業省は,2021年5月,外国公務員贈賄防止指針を改定しました。

今回の改定のポイントは以下の4点です。以下の4点を踏まえつつ,当局から贈賄責任を問われた際,十分な調査をしたことや適切な契約を締結していたことを示せる準備をしておきましょう。

■ファシリテーション・ペイメントの全面禁止

ファシリテーション・ペイメント(FP)とは,仕事を円滑に行うために,外国公務員に対して少額の支払をする行為です。旧指針では,この行為を禁止する表現は曖昧でした。
改定指針では,FPを原則禁止とする社内規定にすることが望ましいとしています。

■M&Aのデューデリジェンス及び買収後チェックの徹底

M&Aの際,買収先企業が贈賄していると贈賄のリスクを抱え込むことになります。
改定指針では,買収前後に徹底した調査をすることが求められています。

■第三者管理の充実化

外国公務員に対し,直接的に多額の賄賂を支払うことは稀です。コンサルタントやエージェントを通して贈賄する場合が多いです。
改定指針では,事前の十分な調査や贈賄禁止の明示等により,エージェント等の第三者をより厳密に管理することが求められています。

■グローバル内部通報制度の構築

海外の現地の内部通報体制だけだと,日本本社に十分な情報が上がってこないことがあります。
改定指針では,日本本社に統一的な窓口を設け,海外拠点の従業員から直接的に情報を吸い上げる仕組みの構築が求められています。

(コンプライアンス的な)ドッジボールではなく(インテグリティ的な)キャッチボールを

【コラム】

コミュニケーションの分野で,キャッチボール的会話とドッジボール的会話ということが言われます。

ドッジボールは悪いコミュニケーション。相手方のことを考えない会話。取れるもんなら取ってみろ!的に乱暴に伝える言葉です。これはドッジボールの外野(もしくはボールを投げる内野),「投げ手」をイメージしています。

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しかし,ドッジボールの「ドッジ(dodge)」は,英語で「よける」という意味。ドッジボールの内野です。外野ではなく。ボールをよける人。投げる人ではなく。投げ手ではなく「よけ手」「受け手」。

伝達者(投げ手)が,相手の立場を考えずにコミュニケーションする,という意味でドッジボールを使うと,その文脈と「ドッジ」の本義は,やや遠いというか異なります。

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そこで私は,上記のようなコミュニケーションだけではなく,コンプライアンスやインテグリティの文脈で,キャッチボールとドッジボールの違いを提唱しています。ドッジの「よける」という本義に近づけて。

会社とは,コミュニケーションのネットワークです。経営とは,伝言ゲーム。いい会社では,社長の言うことが,役員→部長→課長→係長…と適切に遺漏なくコミュニケーション(伝言)されていきます。しっかり会話が「キャッチ」されます。

これが理想です。上司からのコミュニケーションにおいて,部下が適切にキャッチする。キャッチボールができている。しっかりした上意下達。

しかし,現実はどうでしょう。「私,それ聞いてませんでした」「そんな指示ありましたかね…」「よく理解できていませんでした」「メール見てませんでした」「メールにCCに来てるだけで,私を宛先としていないから,私には見る義務ありません」…などという言い訳や嘘が横行しています。上司としては「すっとぼけてるな…」と思いますよね。

このような「知らんぷり」はコンプライアンスの危機です。どの会社にもある「中間フライ」を拾わない。拾いに行かない。見て見ぬふりをする。逃げる。知らぬ顔の半兵衛を決め込む。知らぬが仏。触らぬ神に祟りなし。気づいたら(取りに行ったら)仕事が増えますから。。 仕事増えても給料や出世に影響しないし… だからポテンヒットが生まれてしまいます。

このように,我々の多くはドッジボールの「内野」をしています(偉そうに書いていますが,私もしたことがあります。。)。自分を宛先(当事者)として来ているのかもしれないコミュニケーションを巧みに「よける(ドッジする)」。スルーする。無責任な責任転嫁。自己保全。保身。安全パイ。矢面に立たない。

これはよくありません。会社の意思伝達は,ドッジボールではなく,キャッチボールを目指すべきです。逃げない。取りに行く。イニシアティブや意欲,主体性・責任感という言葉でも表現できます。最近は「エンゲージメント」と表現されるようにもなりました。

この「中間フライを取りに行く」積極的な姿勢が,まさにインテグリティです。Courage to meet the demands of realityというインテグリティの定義(ヘンリー・クラウド)に合致します。勇気が必要です。ドッジはしません。

「守る」というニュアンスの「コンプライアンス」という言葉をイメージするだけでは,中間フライを積極的に取りに行こうぜという気持ちになりません。一方,「自発的・自律」「一人称で自分ごととして考えよう」というニュアンスの「インテグリティ」なら,中間フライを取りに行こうという方向に働きます。

このように,インテグリティにはjob description の間隙を埋める(中間フライを取る)という機能もあります。ドッジボール(知らんぷり)はやめようぜという方向に機能するのです。

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仕事のみならず,すべてのコミュニケーションにおいて,「ドッジ」せず,その送り手とがっぷり4つで向き合って,堂々とリスクを取って「キャッチ」したいですね。

海外法人の役員の要件

【コラム】

取締役などの海外法人の役員については,以下の要件が日本と異なります。

■最低取締役数

 ほとんどの国では1名で足りますが,インド・ミャンマーでは最低2名が必要ですし,中国では3名(の董事)が必要です。

 なお,フィリピンには,取締役は最低1株を保有しなければならないという要件があります。

■会社秘書役(Company/Corporate Secretary)

(1) 意義



 シンガポール,インド,フィリピン,マレーシアには会社秘書役を設置する必要があります。セクレタリーという単語から「秘書役」と誤訳されますが,要するに事務局・事務担当役員です。事務総長(Secretary General)や,アメリカの国務長官(Secretary of State)をイメージしてください。秘書というニュアンスとは異なります。

仕事内容は,総務部長や行政書士のような,議事録の作成・登録などのアドミ的な仕事です。

(2) 実務的対応

 この会社秘書役を探すのは,それほど難しくありません。代行会社や弁護士に,年間いくらかの代行費用を支払って引き受けてもらいましょう。
 このため,会社秘書役の存在や要件が,海外ガバナンス(機関・役員構成)のネックになることはありません。

■居住要件

取締役

 インド,シンガポール,マレーシア,ミャンマー,ベトナムでは取締役のうち1名がその国に居住することが必要です。フィリピンの取締役の居住要件は2019年改正法で撤廃されました。

 ブラジルでは,ブラジルに居住していない取締役(非居住取締役)は,代理人を選任する義務があります。

会社秘書役

 シンガポール,フィリピン,マレーシアの会社秘書役はその国に居住する必要があります。

財務役

 フィリピンの財務役はフィリピンに居住する必要があります。


■国籍要件

 国籍要件はほとんどなく,フィリピンの会社秘書役のみがフィリピン国籍である必要があります。

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